サウジの提携先をどう選ぶか。実績・担当者・独占契約の確認

紹介された会社と契約する前に、先方がどれだけ人と予算を使う計画か、どれだけのパフォーマンスを想定しているかなどを確認し、双方の認識の差を埋めます。できるだけその期待値を契約書に落とし込みます。また、独占契約かによってその契約の重要性は大きく変わります。交渉の妥協点についても慎重に検討しておく必要があります。

上空から見たリヤドの路上。米袋を並べて売る二人。
上空から見たリヤドの路上。米袋を並べて売る二人。حمزة رسلان / 写真出典 / Pexels License
目次

会社の実績に加え、自社の案件に何をしてくれるか

有名企業との取引実績があることと、自社の商品を売ってくれることは別です。大切なのは、契約後に誰が担当し、どれだけ人と予算を使い、どの程度の成果を目指すかです。

例えば、日本側は「半年で一定の売上を出す」と考えているのに、相手は「まず反応を見たい」と考えているかもしれません。どちらが正しいかではなく、同じ契約に違う期待を持ったまま署名しないことが重要です。

期待する成果と双方の負担を話し合い、合意できた内容をできるだけ契約書に落とし込みます。独占契約を結ぶ場合は、他社と取引できる範囲まで変わるため、譲れる条件と譲れない条件を先に決めておきましょう。

まず会社と契約相手を確かめる

会社名、所在地、登記、必要な許認可を取り寄せます。グループ会社の名前で説明されていても、契約するのは別の法人ということがあります。資料に載っている法人と契約書の名義を照合し、署名する人に権限があるかも確認します。

実績については、自社と近い商品や同程度の規模の案件を聞くと参考になります。差し支えない範囲で既存の取引先を紹介してもらい、納期、支払い、問題が起きた際の対応について照会する方法もあります。

人員・予算・期待する成果を具体的に聞く

まずは中東に展開できれば良いということで、細かな条件を決めないまま販売代理店契約を締結する日本企業が多いです。しかし、サウジアラビアの代理店契約には、現地の規制も関わります。販売活動や終了条件を詰めないまま独占を認めると、売上が伸びないときに別の会社へ切り替えにくくなるおそれがあります。実際に誰が動き、いくら投資し、どの程度売ることを目指すのか。契約前に、できるだけ具体的に決めておきたいところです。ですので、実際の活動計画を可能な限りノルマ的な形で契約書に具体化したいところです。対象が販売代理店契約なら、まず次の項目を明確化しましょう。

誰が決裁権者か

サウジアラビアでの広告・展示会出展等にいくら使い、どちらがどれだけ負担するのか

最低ロット(販売数量や売上)をどの程度見込み、未達の場合に何を見直すか

活動と成果を、どの頻度で報告するのか

もちろん、交渉の際には、こちらが求める成果だけを伝えるのではなく、相手が日本側に求める資料、価格、供給量、販促支援も聞きます。双方の負担が見えると、現実的な目標と交渉の妥協点を考えられます。

合意した人員配置、費用負担、報告方法、目標未達時の協議などは、契約書や付属書への記載を検討します。当然ですが、売上の予測と、契約上の義務は区別しておく必要があります。

代表・森和孝、副代表Hyder Alkhalifahと、サウジアラビアの弁護士。
代表の森和孝とサウジアラビアの弁護士。弊社副代表のHyderの紹介をきっかけにした交流の一場面です。写真:提供資料。

独占販売を求められたら

独占販売とは、決めた地域や商品について、その会社だけに販売を任せる契約です。相手が販促に投資しやすくなる反面、売上が伸びないときに別の会社へ切り替えにくくなることがあります(契約や終了の事情によっては、補償が問題になることもあります)。

独占を認めると、その範囲では他社との取引が制約されます。それに見合う販売活動や投資を期待できるかが、交渉の中心です。最初から全土・全商品を長期間任せる必要があるのか、都市や商品、期間を限定して始められないかも検討します。

交渉前には、譲れない条件と、相手の投資や活動計画次第で譲れる条件を分けておきましょう。独占の範囲と、成果が出なかった場合の見直し条件は、非常に重要です。

決めること 交渉する内容の例
地域と商品 全土・全商品を任せるか、都市や商品を限定して始めるか
期間と更新 いつ見直すか、自動更新にするか
販売目標 数量や活動内容をどう決め、どう報告するか
目標に届かない場合 改善期間、非独占への変更、終了の条件
終了後 在庫、顧客情報、商標の使用をどう扱うか

表は交渉項目の例です。解除や非独占への変更が実際に認められるかは、適用法と契約条項の確認が必要です。署名前に、サウジの代理店・販売店契約に詳しい弁護士と内容を詰めます。

面談での印象と資料を両方見る

約束した資料が届くか、見積もりへの質問に答えてくれるか、担当者が話を理解しているか。こうしたやり取りは、仕事を始めた後の連絡方法を考える材料になります。

ただ、会って感じが良かったからといって、財務や許認可の調査を省くことはできません。反対に、資料が整っていても、実際に動く担当者とは一度話しておきたいところです。面談とデューデリジェンス(契約前の企業調査)を組み合わせます。

候補ごとに同じ項目を比較する
  1. 事業と財務

    登記、許認可、実績、支払能力

  2. 運営体制

    担当者、販売網、競合の取扱い

  3. 契約条件

    地域、独占、最低実績、終了時の扱い

編集部による検討手順の例。法定の手続きや所要期間を示すものではありません。

候補を同じ条件で比べる

できれば、複数の候補に同じ商品説明と質問を送り、担当人数、予算、販売先、成果の見込み、費用負担を並べます。大切なのは、一番大きい会社や有名な会社というだけではなく、自社の商品にどこまで取り組む計画があるかを比べることが重要です。大手と組むメリットも大きいですが、その分交渉力で相手に負ける場合もあるので、その点はバランスが必要です。

また、独占を求める会社と非独占でよい会社では、提示条件の意味も変わります。手数料だけで選ばず、拘束される範囲と、見合う活動・成果を検討しましょう。

HIKARIでは、候補企業の調査、担当者との面談、提携条件の交渉を支援します。すでに紹介を受けている会社があれば、その資料をお送りください。

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Sources & Notes

本記事は、記載した参照日時点で公開されていた情報にもとづく一般的な情報提供です。 制度、統計、事業環境は変わります。法務・税務・投資に関する判断にあたっては、 必ず有資格の専門家にご確認ください。

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