サウジアラビア進出の初期調査。90日間の計画例

顧客と価格の調査、参入規制の確認、候補先との面談を並行して進めます。90日は、初期調査を一区切りする目安の例です。

上空から見たリヤドの路上。米袋を並べて売る二人。
上空から見たリヤドの路上。米袋を並べて売る二人。حمزة رسلان / 写真出典 / Pexels License
目次

進出方法によって、必要な資金も調査も変わります。日本から現地の輸入業者へ卸すのか、自社で販売会社を持つのか。最初にこの違いを押さえます。

食品・化粧品はSFDA(食品医薬品庁)、工業製品などはSASO(標準化公団)・SABER(適合性評価システム)の対象となることがあり、会社の投資登録だけでは販売できません。

90日後に得たい成果は、立派な市場レポートよりも「誰に、いくらで売れそうか」「そのためにいくら必要か」が分かることです。

以下は初期調査の進め方の例です。会社設立や営業許可の取得を90日で完了できるという意味ではありません。

調査を始める前に決めること

同じ商品を売る場合でも、現地の代理店に輸入・販売を任せる方法と、自社で輸入・在庫・販売を担う方法では、必要な資本、人員、許認可が大きく変わります。

例えばMISAの投資家ガイド第13版(2026年9月26日確認)では、100%外資の商業活動に最低資本金3,000万SAR(1SAR=40円で換算すると約12億円)、3か国以上での事業展開という要件が示されています。すべての外資企業にこの資本金が必要なわけではなく、事業の分類による違いです。

まず御社がサウジで行う業務を、輸入、卸売、小売、製造、サービスなどに分けます。販売先だけ決めて法人設立を先に頼むと、後から想定外の資本要件にぶつかることがあります。

Phase 1(〜30日)|仮説を立てる

日本で売れている理由が、そのままサウジでも購入理由になるとは限りません。品質の高さを説明するだけでなく、現地で売られている競合品と比べて、価格、仕様、納期、導入後の対応で何が違うのかを見ます。

食品なら小売店だけでなく、輸入業者や飲食店向けの卸会社も候補になります。設備なら実際に使う工場と、購入を決める本社・調達部門が別の都市にあることもあります。使う人、選ぶ人、支払う人を分けて把握することが重要です。

最初の30日では、対象都市、販売価格の仮説、顧客候補、進出方法を絞ります。「サウジ市場全体を調べる」といった抽象的な調査では、御社が事業判断に使える調査になりません。

上空から見たリヤドの路上。米袋を並べて売る二人。
上空から見たリヤドの路上。米袋を並べて売る二人。حمزة رسلان / 写真出典 / Pexels License

Phase 2(〜60日)|市場と規制を並行して調べる

市場調査では、店頭価格だけでなく、そこから輸入業者・卸・小売の利益、輸送費、関税、販売経費を引いて、日本側にいくら残るかまで計算します。代理店を使う場合は、初回発注量、在庫負担、返品、販売促進費も交渉事項です。

規制は商品と業務に分けて調べます。食品の場合、SFDAへの事業者・製品の登録、表示、輸入時の書類などが問題になります。肉・家禽類や対象となる原料では、認められた機関のハラール証明も必要です。工業製品などは、SABERで扱う適合証明の対象かを品目ごとに調べます。

VATの標準税率は15%。法人所得税は一般に外国資本持分に対応する課税所得に20%で、売上の20%ではありません。日本側への報酬や使用料には源泉税が関わるため、契約金額を税込み・手取りのどちらで合意するかも収支に影響します。

Phase 3(〜90日)|会う

現地で会う相手は、知名度よりも御社の商品を採用・販売できるかで選びます。紹介窓口だけの面談で終わらず、事業責任者や決裁者につないでもらえるよう、訪問前に提案の要点を伝えます。

サウジでは相手との関係づくりに時間をかける一方、トップが関心を持つと話が急に進むこともあります。価格表、供給可能量、導入事例、次に提案できる内容を準備しておくと、その場の関心を次の商談につなげやすくなります。

面談後は、相手が用意する人員・予算と、こちらに求める条件を詰めます。「興味がある」という返事だけを売上見込みに数えないことが大切です。

90日間の進め方の例

1〜30日:販売先と進出方法を絞る

31〜60日:現地価格、販売経費、参入条件を調べる

61〜90日:候補先と面談し、採算と実行体制を評価する

90日間の調査計画例
  1. 1〜30日

    販売方法と対象顧客を絞り、資金・規制を調べる

  2. 31〜60日

    価格・販売経費を調べ、候補企業と面談する

  3. 61〜90日

    提携条件と採算を比較し、進める条件を決める

編集部による検討手順の例。法定の手続きや所要期間を示すものではありません。

90日後、次の投資を決められる状態にする

調査の最後には、販売先の候補、現地で通る価格、参入に必要な資金、営業開始までの工程をそろえます。代理店販売と自社拠点の両方が可能なら、初期投資だけでなく、粗利益と運営費を並べて比較します。

有望な顧客はいるが人員や予算が足りないなら、先に代理店経由で販売する方法もあります。逆に、独占権を渡すほどの販売体制が相手にないなら、契約を急ぐ必要はありません。

続行する場合は、次に使う予算と実行責任者を決めます。まだ判断できない場合も、「追加で調べる」だけではなく、価格、許認可、顧客の発注意向のどこが不足しているのかを明確にします。

よくある失敗

市場の大きさだけで判断する。人口やGDPが伸びていても、御社の商品を買う顧客がいるとは限りません。現地価格と販売経費を踏まえた採算が必要です。

会社設立を先に進める。業種によって外資比率、資本、人員、営業許可の条件が違います。事業の分類と販売方法を決めてから設立形態を選びます。

有名企業との独占契約を急ぐ。相手が大きいほど有利とは限りません。御社の商品に割く人員・予算・販路を聞き、販売目標と未達時の扱いまで交渉します。

面談が終われば相手が動くと思う。次の提案や追加資料をこちらから送り、担当者だけでなく決裁者の関心も確かめながら話を進めます。

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Sources & Notes

本記事は、記載した参照日時点で公開されていた情報にもとづく一般的な情報提供です。 制度、統計、事業環境は変わります。法務・税務・投資に関する判断にあたっては、 必ず有資格の専門家にご確認ください。

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