サウジの地域統括拠点(RHQ)。必要な人員と30年間の税優遇

サウジアラビアに地域統括拠点(RHQ)を置く際の人員・業務の要件、税優遇の適用範囲、政府調達との関係を解説。設立時だけでなく、運営に必要な体制と費用も考えます。

上空から見たリヤド。低層の市街が地平まで広がり、中央に高層ビル群が立つ。
上空から見たリヤド。低層の市街が地平まで広がり、中央に高層ビル群が立つ。Ahmed Shahwan / 写真出典 / Pexels License
目次

政府調達ルールの対象・例外を確認し、RHQが自社に必要かを判断する。

原則15名以上、うち経営層3名以上など、実際の統括業務と人員に関する要件がある。

30年間の税優遇は適格所得や対象支払いに条件付きで適用され、全税目の免除ではない。

地域統括拠点(Regional Headquarters、RHQ)は、多国籍企業が地域の戦略や管理機能をサウジアラビアに置くための制度です。通常の販売会社を設立することとは異なります。

政府案件への参加や税優遇を理由に検討する場合も、必要な人員と運営費を先に見積もります。対象となる調達や所得には条件があるため、自社の取引と業務に当てはめて考えます。

政府調達との関係

2024年1月から、RHQを国内に置かない対象企業などとの契約を制限する政府調達ルールが導入されています。ただし、対象企業・政府機関・契約の範囲や例外を確認する必要があります。

最初に行うのは、自社が参加を予定する調達について、発注機関に適用条件を確かめることです。民間企業との取引、政府系企業の調達、政府機関の契約を、同じものとして判断してはいけません。

RHQを置けば受注できるわけでもありません。入札参加資格、技術評価、価格、納期、現地調達などは、それぞれの案件で審査されます。

実際に運営するための要件

RHQが実際に運営されているとみなされることが必要です。MISAの条件では、ライセンス発行後6か月以内に必須の統括活動を始め、1年以内に選択活動を3つ以上開始することが求められます。同じく1年以内に、経営層3名以上を含む15名以上のフルタイム従業員を配置する必要があります。

担当するのは、地域の事業戦略、経営管理、予算、営業・マーケティング方針などの統括機能です。通常の販売会社や現場の施工会社とは役割が異なり、認められた統括活動以外から直接商業収入を得ることには制約があります。

税優遇の要件にも、サウジでの実際の経営管理、業務に見合う支出と人員、適切な事務所、少なくとも1名の居住取締役などが含まれます。日本やUAEの拠点で仕事を続けながら、サウジには名義だけ置くという設計では足りません。

リヤドの新しい高層建築。
リヤドの新しい高層建築。Steven Jeffery / 写真出典 / Pexels License

30年間の税優遇は何に適用されるか

優遇の中心は、適格な統括活動から生じる所得に対する法人所得税0%と、対象となる配当・関連者への支払い等に対する源泉税0%です。期間はライセンス取得から30年間が基本ですが、RHQとしての要件を満たし続ける必要があります。

例えば、サウジの販売子会社が商品を売って得た利益まで、RHQを設立しただけで非課税になるわけではありません。RHQの所得と、販売・施工などの事業会社の所得を分けます。

VATを含むすべての税がなくなる制度でもなく、税率0%でも登録・申告等の義務は残ります。対象所得の見込みと、必要な人員・拠点を維持する費用を比べて検討します。

設立費だけでなく運営費を見積もる

RHQの費用を設立代行の料金だけで見積もると、実際の負担から大きくずれます。15名以上の人件費、経営層の配置、オフィス、採用・駐在、会計・税務、システムなどが継続して必要です。

既存のUAE拠点などがある場合は、誰を移し、どの国・事業をサウジで統括するかを決めます。人を二重に置くのか、機能を移すのかで、追加費用は違います。

政府調達上の必要性、実際に担う統括機能、税優遇の対象所得を一緒に検討します。「30年間税率0%」だけを理由に設立する制度ではありません。

RHQを検討するときの三つの確認
  1. 対象取引

    政府調達ルールの対象と例外

  2. 運営体制

    業務・人員・拠点の実体要件

  3. 税務

    適格所得と対象支払、継続的な要件充足

編集部による検討手順の例。法定の手続きや所要期間を示すものではありません。

検討を始める前の確認事項

対象となる調達案件と、RHQに関する条件・例外。

MISAの最新の申請条件と、予定業務の適合性。

必要な人員と活動を期限内に用意できるか。

税優遇の対象と、要件を継続して満たす管理方法。

計画を変更する場合の手続きと費用。

設立を検討される方は、対象となる政府案件、現在の地域拠点、移したい業務を整理してご相談ください。MISAや発注機関の条件と照らし合わせ、法務・税務の担当者と準備を進めます。

よくある質問

RHQにはどのような人員要件がありますか。

MISAが案内する主な要件には、ライセンス発行から1年以内に、経営層3名以上を含む15名以上のフルタイム従業員を配置することがあります。

30年間の税優遇はすべての税に適用されますか。

いいえ。対象は、要件を満たすRHQの適格所得に対する法人所得税と、対象となる非居住者への支払いに関する源泉税です。グループ全体の税がなくなる制度ではなく、VATも別に考えます。対象所得と、必要な人員・拠点の運営費を並べて検討してください。

RHQを置けば政府案件を受注できますか。

いいえ。RHQを置くことと、個別の政府案件を受注できることは別です。まず予定する案件にRHQの要件が適用されるかを調べ、そのうえで入札資格、技術、価格、納期などの条件を確認します。

Sources & Notes

本記事は、記載した参照日時点で公開されていた情報にもとづく一般的な情報提供です。 制度、統計、事業環境は変わります。法務・税務・投資に関する判断にあたっては、 必ず有資格の専門家にご確認ください。

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